2018 塩水選
方法は名前の通り、一定の濃度に設定した塩水(JA大阪北部では硫安を使用)に籾種を入れ、浮いた籾種を掬い取り、沈んだ状態の籾種と分けます。浮いてくる籾種は、実の入りが悪かったり病気などに感染している危険性があるので取り除きます。実が詰まった元気な籾種だけを使用して苗を育て、水稲苗を待つ農家さんへ届けます。
では、実際の作業を見ていきましょう。
① 硫安を入れ濃度の調整を行った水槽に籾を入れ、浮いた籾種を掬います。
水を張った水槽に硫安を入れて濃度の調整を行い、籾種を入れて浮いてきた籾種を掬って取り除き元気な籾種を選別します。ちなみに濃度の調整は稲の種類によって変わります。例えばうるち米ともち米(お餅にする米)では当然濃度の調整が必要です。また、JA大阪北部が塩ではなく硫安を使用する理由は、硫安だと塩水選に使用した後も液肥として使用できるからです。JA大阪北部では環境への影響を考慮し、実習農園にて散布する液肥として活用出来るよう硫安を使用しています。
② 別水槽で籾種に付いた硫安の成分を洗い流し、重さを均一にして袋へ入れます。
籾種についた硫安の成分をよく洗い落とし、重さをそろえ、袋の中に入れていきます。
③ 籾に付いた水気を飛ばし、60℃に設定したお湯に10分浸け殺菌消毒します。
遠心分離機で籾種に付いた水分を飛ばし、60℃に設定したお湯の入った機械に10分浸け籾種を殺菌消毒します。お湯に入れて1分後に籾種の入った袋をゆすり、袋についた水泡を取っています。これは、籾種に温度が均一に伝え、殺菌消毒をより効果的にするためのひと手間です。
籾種の消毒は農薬を使用しても可能ですが、この方法で殺菌消毒すれば農薬の使用回数を1回減らすことが出来ます。食の安全、使用後の薬液処理や環境への影響を考慮すればこの作業は重要です。
④ 60℃の温度と、10分の時間の理由。
60℃と10分にもちゃんと理由があります。うるち品種の場合、60℃で籾に付いた病原菌を殺菌でき、それより温度が低ければ殺菌効果が不十分となります。時間も10分以上浸けると、籾種の中の胚芽がダメになり発芽に影響がでます。温度と時間、両方をにらみながら慎重に作業を行う必要があります。
⑤ 10分たったら機械から出して、冷水で籾種の熱をとります。
機械から取り出し、すばやく冷水で籾種の熱をとります。そのままにしておいたら発芽してしまう可能性がありますので、この作業はスピードが重要です。
⑥ 水を張った水槽につけ、籾に水分を吸わせます。
水槽の中に丁寧に並べ、は種の作業まで十分に水分を吸わせておきます。
ここまでが今回行われていた作業です。食の安全や環境への影響も考慮し、水稲苗をご注文いただいた農家さんのお手元に、安全で丈夫な苗を届ける為に、たくさんの工程を1つ1つ職員の手で丁寧に行っていました。