おとなの食育 NO.23

常に生命力を感じる考え方と食べ方
平常心にやどるココロとカラダの免疫バランス

 

「ホメオスタシス」というココロ安らぐ考え方

長い歴史に重大な影響を与えてきた感染症。今回のような耐性を持つ新興感染症や、今後も再興感染症が現れるとされ、病原体の撲滅は困難という。この状況での心構えは、楽観論でも悲観論でもなく「過度に恐れず、適度に恐れる」ことで、感染症は「戦う」より、むしろ「共生」すべきという認識もあります。先が見えない不安、特効薬を待つまで一年以上も要するなら、努めて自らの免疫力向上をはかるべきでしょう。
 心まで感染されないよう、いま伝えたいキーワード、三年前に僕が光明を得た「ホメオスタシス」(生体恒常性)です。「生物及び鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ち続けようとする性質」を指します。宇宙の恒常的な営み(太陽を巡る地球の自転公転)に、生物は同調しながら存在し、天体も生体も常に状態が一定に保たれているという真理。ヒトが持つ恒常性とは体温、血圧、血糖値、血中カルシウム濃度、体液のpH調整など生体機能の全てに及びます。着目すべきは、病原微生物やウイルスなど異物(非自己)を排除するといった、自らの「免疫の恒常性」に委ねられている事実です。

 

「梅干」と「免疫バランス」のカラダが喜ぶ食べ方

つまり「免疫」の「バランス機能」こそが生命の恒常性を担っています。その働きに機能する典型的な食材が「梅干」です。消化吸収を促し、解毒・排毒に役立つ、まさに頼れる「万能常備薬」。強力なクエン酸で糖質をエネルギー化し、血液の浄化、腸内の殺菌、カルシウム吸収力を高めて鎮静効果や、細胞を活性化するなど実に心強い味方なのです。
 自然食・自然療法の大家として知られる東城百合子さんが説く、免疫力を高める食のバランスとは ①旬のもの(生命力)が入っている ②海のもの(海藻や小魚)、里のもの(野菜)両方がある ③五味✳︎五色(前号掲載)のバランス の3つで大丈夫。ただ栄養バランスだけでは片手落ち。食べ方も生き方も「中庸」をはかる柔軟な応用力が大事と説かれています。
 やまない雨はないように、おさまらない感染症はない!困難なときほど平静に、ささやかな喜びを見い出しながら、積極的に「生きる幸せ」を紡ぎたいものです。

文責〉コピーライター 小山寅哉

土用干しで太陽エネルギーを蓄えた梅干を一日一粒。三年もの以上ほど免疫効果は高まる(調味液漬けのブヨブヨ梅干では期待薄)。また青梅から作る梅肉エキスでも、伝染病の予防効果が認められるとか。(作り方は東城百合子著「自然療法シンプル生活」三笠書房.89頁参照)

✳︎「五味の食効」(パン ウェイ著「げんきときれいをつくる五味五色」日経ビジネス人文庫より)