〔4月初旬〕シルク21 は種・緑化苗


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前回に引き続き、能勢ライスセンターでの作業工程です。今回は、苗箱に籾種をまく「は種」という作業と、その苗箱を「出芽室(しゅつがむろ)」と呼ばれる湿度の高い部屋で、2日間かけて芽を出させて(出芽)、「緑化室」で5日程度日光に慣らして、きれいな緑色の苗に仕上げるまでの作業工程です。一切の無駄が無いまでに効率化された機械作業に驚かされますよ。では見ていきましょう。


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① 水を吸わせた種籾の袋をのお湯につけ、発芽をそろえます。

まず前回塩水選・温湯消毒が終わって、水につけて(浸種:しんしゅ)たっぷりと水を吸わせた種籾の袋を28℃のお湯につけます。水に浸けるだけでも種籾は発芽するのですが、一定の温度をかけていっせいに目を覚まさせるための作業です。種まきの際に発芽をそろえて均一な苗を作るためのひと手間なんです。


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ちょっと作業場全体を見てみましょう。全体を写すとこのような写真になります。


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② 何も入っていない苗箱をラインに流し、作業開始です。

苗箱がラインに乗り流れていきます。


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② 何も入っていない苗箱をラインに流し、作業開始です。

この苗箱は2階で補充され、エレベーターで下に降ろされます。


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③ 苗箱に土を敷きます。

ラインで運ばれてきた苗箱に床土(JA大阪北部では宇部培土)を敷き、カビ等を予防する農薬を混ぜた水をかけていきます。左と右とでは土の色が違いますよね。


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③ 苗箱に土を敷きます。

ちなみに土の補充は、このように行います。すごい重量(1袋1,000kg)なので床に作ったホッパーに入れて昇降機という装置を使って2階に運び上げて床土と覆土のタンクへ詰め込んでいます。


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④ 種籾を播きます。

敷かれた土の上に種籾を播きます。均等に播かれていますね。


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⑤ 種籾の上から土を被せ、ライン作業は終了です。

さらにその上から覆土(床土と同じ土です)をかぶせます。隙間なく覆土できていますね。


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⑤ 種籾の上から土を被せ、ライン作業は終了です。

出来上がった苗箱は整然と育苗用台車の棚に積み込まれます。この赤い台車で80箱積み込まれます。1日稼動で40台すなわち3,200枚もの苗箱を仕上げていきます。


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⑥ 出芽室に運びます。

台車が苗箱でいっぱいになったら、「出芽室」に運びます。水蒸気のちからで一定の温度(29℃)と湿度(90~100%)を保ったこの部屋で2日間かけて出芽させます。


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⑥ 出芽室の仕組みです。

この水蒸気は、室内の溝に水を溜め、水中のパイプにボイラーから送られた熱湯を通すことで、水を温めて発生させています。


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⑦ 緑化室で出荷を待ちます。

その後「緑化室」で5日間管理し、農家さんへ引き渡されます。今回は「緑化室」に入って4日目の苗です。きれいに生えそろい、若々しい緑色をしていますね。


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ちなみにこの苗は「緑化苗」と言い、田植えまでの約3週間農家さんが自分で管理します。このほかにも「硬化苗」と言って、田植えが出来る状態までJAが管理を続けて、農家さんにお届けしている苗もあります。


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いかがでしたか。種まき作業の大半は機械化され省力化されてはいますが、ラインが動き出すまでの細かい調整や、稼働中の資材の補填など大事なところは、人の手によって確実に行われていました。


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長い冬も終わっていよいよ、本格的な田んぼのシーズンが近づいてきたなぁと実感しました。